ワンゲル部の記録長さん

山ですぐバテちゃう記録長さんの日記

冬の美ヶ原の魅力を山トイレ改革の視点から語る

ところで、登山におけるトイレのあり方改革を進めている携帯トイレ社長と相変わらず山トイレ視察に出掛けています。

今回訪れたのは長野県松本市内から15kmほど離れた「三城(さんじろ)いこいの広場」という所になります。

f:id:uccari8:20201221003247j:image松本市内からあっという間に到着〜♪

美ヶ原の登山口「三城」の存在を知る

途中ワイナリーを通過し、山道を少し走るとすぐに到着しました。標高は約1,420m。ここ三城は、美ヶ原の玄関口なんですねぇ。

美ヶ原と言えば車で簡単に行ける百名山の一つになります。王ヶ頭(おうがとう:2,034m)や、とりわけ王ヶ鼻(おうがはな:2,008m)からは北アルプスの眺望が素晴らしい事で有名ですが、三城からは高低差約600m、2〜3時間で登る事ができるようです。意外に便利な立地にびっくりです。

f:id:uccari8:20201221003343j:image振り返ると王ヶ頭の鉄塔がクッキリと見えました。

長らく登山活動をしていますが、美ヶ原ってどうも馴染みが薄かった…というか、ビーナスラインのついでみたいなイメージがあって、知っているようで知らない山でした。

同行したガイドさんによると、美ヶ原の入り口は大きく、

  1. 一番有名なビーナスライン側(山本小屋)から入るコースと、
  2. 今回訪れた松本市から近いアザレアラインの三城いこいの広場から王ヶ頭へ直登するコースと、
  3. そして、美ヶ原公園沖線(県道62号)の美ヶ原自然保護センターから入るのと、

3つあるそうです。圧倒的に1.のイメージが強く、2.と3.は正直今回初めて知りました。

f:id:uccari8:20201221003619j:image三城には立派なトイレがあります。

早速三城のトイレを視察して参ります。しかし12月の三城いこいの広場は既に営業しておりませんでした。

ホームページ情報によると、「冬季(11月下旬~4月中旬)は閉鎖」とあります。これは県の条例の関係らしいです。売店やレストランのみならずトイレも閉鎖です。。

f:id:uccari8:20201221003942j:imageトイレ入れませーん。

勿論駐車場も入れません。。

f:id:uccari8:20201221004303j:image三角コーンやバーで簡易ゲートが作られており、車は入場できません。

冬季閉鎖でない通常期間も無料駐車場は夜間閉鎖の為、夜通し駐車するには有料駐車場の利用が必要との事です。

三城の豊かな自然を考えれば、冬季閉鎖中となっているこの一帯は、勝手にトイレをその辺でする訳にはいきません。またその期間、当然管理人もいないので、冬の登山口としてはなかなか厳しい事情もありそうです。

※実際ここのトイレを含め通常期間だけでも「汚水・汚物の処理やトイレの管理運営」には大変なコストがかかっているそうです。

さて、冬季閉鎖中の三城は冬のアクティビティの基地になり得るか

まず、スポット的にでもトイレがあれば冬のイベント事にも対応しうると思われます。また、し尿処理方法も限られると思います。自然に汚水が流れたり臭いの出るトイレでは大変にマズいので、

  • し尿を地下浸透させない処理が必要
  • 臭いを抑えながら衛生的に固めて回収できる事
  • 冬季閉鎖中でも電気水道に頼る事なく運用可能な事

などを考えると、一時的であれば簡易携帯トイレブースか、あとは携帯トイレを持参してもらう事などが対策として考えられます。あとはどこで携帯トイレを買ってもらうか…ですね。

withコロナだからこそ、新しい美ヶ原のコンテンツを推し出したい

こんな時代だからこそ、美ヶ原の、とりわけ冬の魅力についてはアピール力が光ります。

それは、

  • 全体的に山小屋の宿泊人数が制限される問題により、北アなどから日帰り可能なこのエリアにまで登山客が流れている現状。
  • 修学旅行の新しい形としての学習課外活動の拠点としての注目度もアップしている。
  • もともと北アルプス雄大な眺望をはじめとして、雲海や星空観賞など目玉が沢山ある。

などの理由によります。

何となくですが、前日訪れた乗鞍高原と被る状況もありそうです。

f:id:uccari8:20201221014219j:image前日は乗鞍高原に宿泊。ここでは「携帯トイレ」→「携帯トイレブース」→「環境配慮薬剤方式トイレブース」→「肥料化:トレハナのブランド化」に続き、現在は「ミミズによるトイレ処理後物の土作り」にチャレンジ中です。でもこの寒さが課題だったりして…

参照:岳都・松本 山岳フォーラム2017開催です! - ワンゲル部の記録長さん

ただ美ヶ原の場合は、その場所にたどり着く導線(アプローチ方法)の認識に大きな課題を感じました。

今年はコロナを取り巻く環境の中、仕事柄色々な観光資源の見直しについて助成金を駆使しながら計画を進める事が多かったです。

そこには以前のようなショップや特産品開発などで人を集めるコンテンツではなく、

  1. ツアー自体の質を高める事で国内旅の価値を見直し顧客単価アップも図れる事。
  2. トイレなどのインフラ整備や感染拡大防止に努められる事。
  3. 子供達の成長と共に身近な学習プランを組み込んでいける事。
  4. やはり三密を避けられる野外での活動などを重視できる事。
  5. 以上を持続可能な形で実現できる事…SDGs的な考えですね。

このあたりに注目が集まっているようです。

f:id:uccari8:20201221013012j:imageiPhoneのズームで撮った粗々写真の王ヶ頭山頂の鉄塔と美ヶ原高原王ヶ頭ホテル。

今年はようやく雪がまとまって降り、真っ白な王ヶ頭を見上げる事ができました。大人気の王ヶ頭ホテルの宿泊は相変わらず満室がちで、予約が取れにくい状況が続いているとの事です。

今後は冬の登山コンテンツにも注目が高まる中、比較的安全に登山できる美ヶ原は益々注目が集まると思います。

その時、イベントが、トイレが、新生活様式が、どれだけスムーズに流せるかは、地元の方々と行政と我々のような業者との座組にかかっていると感じました。

f:id:uccari8:20201221021525j:image夕陽も綺麗な三城。

いいぞ美ヶ原。もうちょっと勉強してみようかと思います。