ワンゲル部の記録長さん

山ですぐバテちゃう記録長さんの日記

登山でのギアの撥水性能アップと防水耐水効果を考える

先日の北アルプス山行で、野口五郎小屋からの帰り道に雷雨に1時間ばかりやられ、すっかりビショ濡れになりました。

そこで、今回は改めて登山ギアの撥水加工や防水耐水性能の効果を見直してみようと思います。

f:id:uccari8:20200922174628j:image今回撥水加工の為に主に使用したケミカルはこちら

 

久々に登山靴が浸水しました

今回は久々に登山靴の中まで浸水させてしまいました。登山靴が比較的新しい為、原因は外から浸透したというよりは以下の要因が強いと思います。

  1. レインウェアのズボンの防水性が弱まった状態で内側が濡れてしまい、裾はゴム紐で絞っていたにも関わらず水分がタイツや靴下を伝って浸水してしまった。
  2. 雷雲通過中は体育座り状態だったので、レインウェアの裾がめくれ登山靴のベロを覆い隠しきれておらず雨晒しだったかも?
  3. そもそも登山靴の靴紐の締め方が甘かったかも!?

いずれにしても短時間に数十ミリという土砂降りの中、ハイマツの陰に座りっぱなしだったのでビショ濡れ状態だった事は間違いありません。ウェアや登山靴のそこそこの耐水性能は突破されていたかもしれません。

 

帰宅後、登山靴は臭うと嫌なので丸ごと水洗いして陰干しすることにしました。

f:id:uccari8:20200922175517j:imageなんだか色褪せたような…

軽く石鹸水で洗ってしまった為、思ったより色落ちしてしまっていました。ちゃんと専用のクリーナーを使うべきでした。

f:id:uccari8:20200922180655j:imageコロニル ナノコンプリート(保革成分入りクリーナー)泡泡タイプとかGrangersアウトドア製品用クリーナー…水洗いしない時の登山靴のクリーニングに使用しています。

取り敢えず乾いたので撥水加工をしていきます。

f:id:uccari8:20200922175845j:imageGrangersシューズ用保革&撥水剤

ヌバック系の登山靴のメンテナンスは最近はもうこれ一択になってしまっています。

f:id:uccari8:20200922191118j:image昔の革製登山靴ならコレ。高校生時代からずっとお世話になっていた「KIWI WET-PRUF WAX」です。黄色いバターの様なオイルワックスで撥水性能抜群でした。

昔使用していた革製の登山靴なら専用の蝋を塗る事でかなり撥水し、縫目に塗り込む事で更に防水もできましたが、最近の軽量な登山靴は「Grangersシューズ用、保革&撥水剤」を使っています。単なる「シューズ用撥水剤」というのもありますが、

f:id:uccari8:20200922181311j:image単なるシューズ用「撥水剤」はこちら…

革製品は保革効果のある「保革&撥水剤」を使用しています。

f:id:uccari8:20200922181712j:image一通り保革&撥水剤を噴霧しました。
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このように乳白色をした液体で、霧吹きの要領で全体にまんべんなく噴霧します。

ざっくり乾いたら次は今回新規導入したコロニルのカーボンプロという強力防水スプレーを使用してみます。

f:id:uccari8:20200922182117j:image2,400円…まぁまぁ良いお値段です。

お店のポップには1ヶ月効果が持続とありました。説明文によると

…(前略)…保護膜は通気性があり外部からの水や汚れを通しにくい構造になっておりますので、スムーズレザー、スウェードなどの起毛皮革はもちろん、布地や防水透湿素材を使用した衣類まで幅広くお使頂けます。

と、何と凄いじゃないですか!!では早速、

f:id:uccari8:20200922182718j:imageシューっと。

このまま更に乾かす事にしました。効果の持続時間をみますと本当は登山直前に噴霧するのが良さそうですね。防水スプレーとありますが基本撥水スプレーかと思います。一応スプレーするだけでカーボン繊維のような網の目状の保護膜を対象物に構成するとあるので、防水スプレーという呼び名なんだと思います。

 

レインウェアは上下とも撥水性能ゼロ状態でした、、防水性能も怪しくなってきており、、、

レインウェアは今回撥水加工を完全に忘れていました。通常汚れがひどい場合、洗濯機でお洒落着洗いしてから乾かしてアイロンがけをするだけで撥水性能がある程度復活しますが、特にズボンの方は購入してからかなりの時間が経過しておりほとんど撥水性能は復活しませんでした。

本来はゴアテックス製品などの洗浄や撥水加工には、ニクワックスとかいう製品を使用するみたいですね。特にバックカントリーのスキーウェアなどのメンテナンスなどではよく見かけます。しかしながら自分の場合、単なるスプレーでお手軽にチャレンジしてみます。今回衣類に試したのはこいつです。

f:id:uccari8:20200922183152j:imageホルメンコール ハイテクプルーフ

何でもナノテクノロジーで開発された新しいタイプの防水防汚スプレーとの事です。コレさっきのコロニルのカーボンプロと同様に

…(前略)…透湿性を損なわず水や油をはじきます。スポーツウェア、スポーツシューズ、登山靴、レインウェア、傘など、繊維製品や比較製品にも使用いただけます。

とあります。何か似たような商品買っちゃったなぁ。。

f:id:uccari8:20200922183155j:image取り敢えず吹きます。シュ〜。

撥水効果がほぼゼロになったレインウェアに噴霧していきます。吸い込むと有害なので必ず屋外で使用するよう注意書きがありますが、うちの場合お隣さんに臭いがまわるのはまずいので、最初部屋でやってカミさんに怒られ、仕方がないのでマスクして風呂場で換気しながら、ささーっと吹いて終わりにしました。

※因みに室内噴霧は本当に危険です。スプレー成分の撥水剤のフッ素樹脂だとかシリコン樹脂だとかは吸い込むと肺に付着しマジ呼吸困難に陥り、最悪死亡します。。

 

どちらも撥水性能は良いようです

撥水結果は、どちらも優秀なようです。

f:id:uccari8:20200922192344j:imageおぉ登山靴も水を弾いておる。
f:id:uccari8:20200922192340j:imageレインウェアも見た目復活…

ズボンの方はやや怪しかったですが、しっかり水を弾いてくれました。

ただ、撥水性は保護膜作るのでこういったスプレーで上がるに決まっていますが、肝心の防水性耐水性や透湿性はどうなんでしょうか?

登山靴のLOWA ティカム2 GTXはゴアテックスなので、スプレー保護膜により透湿性能が損なわれていなければ、最強に耐水性透湿性共に優れているはずです。

レインウェアは上がDRY.Q Eliteというマウンテンハードウェアの防水透湿メンブレンです。着た瞬間から透湿が始まるという謳い文句です。下はモンベルの昔の防水透湿素材で、確かドライテックだった記憶です。風を感じる素材との謳い文句だったような?

いずれもゴアテックスよりは耐水性という観点では落ちると思いますが、

  • 外からジワっとしみてくる
  • 中の汗でジトっとしみてくる

のは、どちらもその両方を効率よく防いでくれるメンブレン素材である事に間違いありません。ただ経年劣化による耐水性能が落ちるという事はありえそうです。今回のスプレーによる保護膜の「透湿性を損なわない…」っていうのはどの程度の話なのか次回実際に山で使用してみて実感してみたいと思います。

 

f:id:uccari8:20200922203254j:imageたまる一方のケミカル達…

今回、撥水性は無くなろうとも防水性や耐水性まで無くなったかというとそうでも無かったと思います。逆にあの雨の中、ウェアについては内側はまだしっとり濡れるくらいでむしろ乾いていた方でした。登山靴はウッカリ中に浸水させてしまった関係で暫く気持ち悪かったですが、数時間ほどで靴の中の滴るような水もだいぶ汗の蒸気と共に減った気がします。

 

それでもギアの撥水性能を維持する事は重要だと思います。

登山では透湿性を十分に確保しながらいかに防水性耐水性を上げていくかというのが課題だと思います。そこに撥水性という見た目の問題も加わり視覚的にもしっかり水を弾くギアは安心感も高まるのだと思いました。(勿論、多少の雨なら撥水性能が高いほど水が浸水する機会が減るので、防水性を助ける事にも繋がります。)

 

クリーニングや撥水加工など日頃からできるメンテナンスは、しっかりやってあげたいものですね。

 

おまけ

今回スタッフバッグも新調しました。ザック内の浸水はザックカバーだけでは防ぎきれない場合、濡れては困る衣類など個別に防水してあげる必要があります。

f:id:uccari8:20200922210610j:image新たにコレを買ってみたよ。

古いハイパロン素材のスタッフバッグは裏の素材がボロボロと剥がれてきて防水性能が低くなっていました。また流行りの薄型スタッフバッグも5年程使い古したものはだいぶ水が染み込んでいました。
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今回購入したSEATOSUMMITのULTRA-SIL NANO DRY SACK(8L)はどうだろうか?
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口の部分を3回程巻き込む形で折り曲げてストラップでカチャンと繋ぎます。
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空気も漏れず密封性も良さそうです。

 

これも次回期待して使いたいと思います。