前回の続きです。ようやく材料も揃いましたので、いよいよクロスバイク用のホイールを手組したいと思います。
DT SWISS revolution 2.0/1.5mmスポークとアルミニップル届きました!
前後のハブも揃いました!!
フロントハブの肉抜きがエグい笑。リアハブは流石に重厚な感じ。
いよいよ手組開始っす。
専用工具も買い揃えてみました!
ホイールを手組するには専用の工具があった方が断然スムーズに事が進みそうなので揃えました。
買い揃えた工具はどれも初心者向けの安価で簡易なものばかりです。
- MINOURA(ミノウラ)振れ取り台 FT-1 ※ホイールセンターゲージ付き
- スポークテンションメーター ※汎用品
- パークツールのニップル回し SW-40
- その他、タイヤレバーとか潤滑剤ラスペネとかネジロックとかマイナスドライバーとか…
因みに4.のネジロックはスキー板のインビスへのネジ留めで使っていた「ロックタイト222低強度タイプ」の余りを使おうかと。
これスポークのロックに使って大丈夫かなぁ…
尚、専用品の"スポークプレップ"なる商品があるようですね。潤滑剤とロック剤を兼ね備えているとか、、
組み始める前からあれこれ御託を並べる
ただスポークテンションやバランス、振れ取り作業を考えると…
この後は、物理学やら数学的な何やらの世界で、もうね全くと言っていいほどついていけません(泣)。もっと勉強していれば楽しく理論理屈から自分なりの納得に近づいていけるでしょうね。
とはいえ楽しみで始めた作業なので、自分は"理屈"ではなく"感覚"でこの「手組ホイールにおける自分なりのバランス感」を求められたらなと思います。違いが分かるほど繊細じゃないですが…
記念すべき1本目のスポーク。。
やみくもに組初めて、いきなり失敗…
しかし、御託を並べて笑ってられるのも今の内だけでした、、失敗の連続です。。理論より感覚!と割り切ったあたりからだいぶ雑になってきてはいたのですが、正直感覚に頼る事も許されないくらい思い通りにはいかず…
仮組み出来たようにみえますが(汗)
失敗1. 難しそうなリアから組初めてしまった
まずは慣れるために左右テンションの同じフロントから組み始まれば良かったのですがリアから始めたためにヨンロク組など分からないところだらけでどの穴にどのスポークを突っ込めば良いのか迷いまくりました。
失敗2. テンションの緩い反フリー側から組んでしまった
緩めに向かいのスポークを少しづつ締めれば問題無かったかもしれませんが、先に反フリー側を仮組みし、しかも案外ガッツリ組んでしまっていたようで、フリー側を組む時にスポークがニップルに届かない事態発生。何回もやり直す羽目に。
失敗3. 隣、隣のスポークを締めていったら最悪のバランスに
例えば車のタイヤ交換の時も、ナットを締める時は仮締めの後、対角のナットをしめていきますよね?ですが何しろスポークがバッサバッサするのが邪魔でついつい隣→隣へと締めていってしまいました。なのでスポークが場所場所で届き過ぎたり届かなかったりでバラバラに。既にどこをどれだけ締めたのか分からなくなってしまいました。
失敗4. おかげでセンターが全然合わない
テンションのバランス悪過ぎで、フリー側の引っ張りが常に足りない感じが続きました。反フリー側を緩めないとフリー側のニップルを固く締め込めないなど、センター合わせが全く出来ず。最初から終わっている感が出まくっていました。
失敗5. 初心者なのにアルミニップルを使ってしまった
最大の失敗はコレかと。仮組みまでに何回も締め直ししたアルミニップルが、意外に脆く壊れそうだと感じてはいたのですが時既に遅し、、割れたりナメたりしまくりました。緩みやすくなると嫌だなぁとか思って潤滑剤も使わずいきなりネジロックを使ったのもまずかったです。
ボロボロやんけ…
失敗6. スポークが長過ぎたかも
ニップルを締めるほどニップルの頭をスポークのネジが突き破って、突き出たスポークの先端がネジ山を邪魔します。なのでマイナスドライバーが使えないという事態が発生。その為、無理やりドライバーで回そうとしたり、ニップル回しでゴリゴリやって、ニップルの破壊に拍車をかけました(泣)
ニップルが壊れてしまった以上はもうテンションをかける事も緩めることもできません。振れまくりのホイールはどうにも修正できず…
結局、再度バラすことに。。
ウニに戻る…
改めて、整理することにしました。
組み方の手順を再考する
手組ホイールには儀式があるようですね。今度はちゃんと守って慎重に組んでいきたいと思います。
- バルブ穴から覗くとハブのロゴが見える笑
- バルブ穴のところではスポークが交差しない
特に2.は、空気入れる際にスポークが邪魔にならないようにするために必須とのこと。なので前回作成した組み上がりイメージ図とバルブ穴位置を予想して、どこから組むのかシミュレーションしてみました。
リアの正しい左右テンション比率が分からない…
計算で導き出されているサイトをよく見かけますが、なぜその答えになるのか?みたいな部分が基礎の無い自分には分からず仕舞いでした。
でも、公式丸パクリで色々計算してみて
- 反フリー側のスポークテンションはフリー側のスポークのテンションの半分ちょい〜
- ヨンロク組の異形な組み方でも左右テンション差は、ほんの数%も縮まらない…
- 前回疑問のまま放置していたオフセットリムというやつなら、もっと根本的に左右テンションバランスを取れるのかな、、
みたいな事は何となく分かったような(分からないような。)
よし!スポークテンションメーターとアプリを使ってみよう!
そこで、感覚的にやり過ぎていきなり失敗した自分としては、せめてスポークテンションを視覚的に捉えたいと思い、これまた先人達もお使いのスポークテンションアプリ(by パークツール様)を使ってみようと思いました。(テンションメーターは汎用品ですが…)
https://www.spokeservice.ca/utilities/spoke-tension
スポークテンションアプリ〜全部英語ですが、Google先生に訳して頂きながら使ってみます
改めて最終の材料をおさらいします。
そして買い直した真鍮のニップルが届きました。どんだけ買い直しすんねん☝️
DT SWISS 2.0 - 12mm black
これで買い物も一段落のはず。
今回手組する材料と組み方をおさらいします。
◆フロント (イタリアン組、左右2クロス)
- リム : TNI AL300 24H (468g)
- ハブ : TNI evolution light (60g)
- スポーク : DT SWISS revolution 2.0/1.5mm 282mm × 24本 (112g)
- 【変更】ニップル : 真鍮2.0-12mm × 24個 (24g)
- リムテープ : SCHWALBE HIGH PRESSUREタイプ16mm (23g)
- チューブ : Panaracer CYCLE TUBE (96g)
- タイヤ : Continental ULTRA SPORT3 25c (268g)
◆リア(イタリアン組、ヨンロク組)
- リム : TNI AL300 32H (455g)
- ハブ : SHIMANO DEORE FH-T610 32H (369g)
- スポーク : DT SWISS revolution 2.0/1.5mm 282mm × 16本 273mm × 16本 (147g)
- 【変更】ニップル : 真鍮2.0-12mm × 32個 (32g)
- リムテープ : SCHWALBE HIGH PRESSUREタイプ16mm (23g)
- チューブ : Panaracer CYCLE TUBE (94g)
- タイヤ : Continental ULTRA SPORT3 25c (263g)
ブラックなリムにブラックなスポーク、ブラックなニップル、ブラックなハブで黒々と組んでいきたいと思います。
今一度組み上げるパーツの重さを確認します。
リムの重さは前後で多少異なります。
ハブの重さは前後で大きく異なります。
スポークの重さです。
追加購入の真鍮ニップルの重さです。アルミニップルに比べフロント+17g、リア+22g重くなりますが、割れたりナメたりするよりマシです。
地獄の振れ取り作業開始
フロントは左落としからリアは右落としから…
先程の儀式にも書きましたが、スポークを落とす位置を間違えるとバルブ位置がズレちゃうみたいですので要注意です。
- フロント : 2クロス×2クロスのイタリアン組→左落とし
- リア : ヨンロク組のイタリアン組→右落とし
との事ですので、今度はイメージ図とにらめっこしながら組んでみます。
では、早速フロントから…
スポークを通しつつ、リムにニップルで仮組みしていきます。真鍮ニップルはしっかりしていてナメなそうですね。
仮組みが終わりました。
あ!早速バルブ穴とハブのロゴ関係がズレてるぅ、、
4穴分ズレてました…で、組み直しました。とほほ。
改めて仮組み完了。
しかし、なんだかリアの時よりもスポークが無理にひん曲がっている感じだけれども大丈夫なのかなぁ。
軽く仮組みが終わったらスポークを馴染ませながら更にニップルを締めていき、センターゲージで左右のセンター位置を確認します。おぉ、今回は大体センターです。
ニップルをラスペネで締めやすくしておいたので抵抗無く回ってくれます。対角を締める事を意識してなるべく均等にちょっとずつ締めていきます。
パークツールTM-1ならぬ、チャイナTC-1というスポークテンションメーター笑
テンションメーターでテンションを確認していきます。概ねメーター読みでどのスポークも17あたりの値を指しています。
だいぶスポークも張ってきました。振れ取り台にセットします。
結構振れまくっているのね…
縦振れ、横振れを地道に取っていきます。テンションメーターでテンションを揃えるイメージですが、振れを直すのに精一杯になり、ついスポークテンションメーターを使うのを忘れてしまいます。
失敗7. 失敗は続くよどこまでも。スポークが伸びる…の意味が分かった!
スポークの穴位置に数字を振ってそれぞれのテンションを確認していたのですが、左の4番のテンションが伸びません。怪しいと思って一旦スポークを外してみたら何とスポークがびよ〜んって伸びてしまっているではないですか!?幸い余分に1本購入しておいたので交換する事にしましたが、2本の長さを比較してみると5〜6mmは伸びてしまっているのが分かります。またよく見るとスポークの細いところが中尾彬のマフラーのごとく捻れていました。。
バテッドスポークの2.0-1.5mmは素人には早過ぎたか、、、
- 最初から(中華)テンションメーター読みで「17」とか値が高過ぎたみたいで調整幅が無かった。
- DT SWISS revolutionは細いところが1.5mmと"そうめん"並の細さの為ニップルを締めにくいです。もっと上達してから使えば良かったです。
- まぁ、この調子だと結局ネジロックなど使う余裕は無いっす。
スポークを差し替えたところが縦振れをし始めたぞ!?
- 横振れは、その範囲の中心から端に向かってスポークの調整量を徐々に少なくしてみます。
- 縦振れは左右と対角のスポークの調整を行います。
ところが、どうしても先程変えたスポークの周辺が縦に大きく振れ始めました。
まぁ横にも振れているし、どうしようもないくらいグニャングニャン振れまくっています。しかもスポークが捻れて伸びるのが怖くてテンションを上げていけない恐怖に駆られスポークにテンションをかけられません。。しかしハタと気づき反対側のスポークを緩めてからもう一度該当のスポークを締めてみると、まぁ何とか締まり始めました。結局のところ左右で引っ張り合って吊り合っているっていう事なんですよね??
ここに来て、振れ取りの正しい手順に気付く笑
MINOURA(ミノウラ)振れ取り台 FT-1の取説を改めて見ていて、正しい振れ取りの手順が書いてあるのに気付きました。
- 縦の振れ取り
- 横の振れ取り
- センター出し
- スポークテンション調整
なるほど、また適当やってしまった。まぁどうせ1〜4を繰り返しているのですが。
おや?振れが止まったよ
何だか永遠の作業に感じていた振れ取りですが、何となくコツを掴んできて、気づいたら縦振れも横振れもほぼ無くなっていました。やったー。センターゲージでセンターを再確認します。これも大丈夫です。
片方の爪だけギリギリの位置にセットしてチェック。
何回もぐるぐる回してみても大丈夫そうです。たぶん振れ幅は0.5mm以下なんじゃないでしょうか?
スポークテンションを最終チェックします。
スポークテンションの数値を書き出していきます。
「フロントは意外にまぁまぁ値が揃っているのね…」
しかし最初どのスポークもメーターの17付近に揃えてからスタートしたはずなのに、結果は、ほぼ15前後の値に落ち着きました。えー換算表によると…88kgfって事すか?ヌルいぜ。13あたりから締める方向で調整出来れば良かったかもですね。
何とか組み上がったかな。バルブ穴位置も合っています。
リアの作業に取り掛かります。
今度はリアも真鍮ニップルを使って再度リムに固定していきます。
スポーク位置関係は良いようです。
どのスポークをどの穴に固定するのか予め印を付けておいたので割と楽に組み上がりました。
出来るだけ均等にスポークを調整したく、リアも各穴に番号を振っておきました。
ハブの内側から外側に出るスポークのクロスする箇所について
- 2クロスは、上→下 の順で通す
- 3クロスは、上→上→下 の順で通す
というセオリーがあるらしいですね。またフロントの時はハブのフランジの穴や形状のせいかスポーク同士がかなり無理目にクロスしていたのですが、リアの時はさほど無理な感じも無くクロスさせられました。
組み直したリア側は怪しいスポークが多い…
ところで最初に勢いで組んでバラしたリア側のスポークでフリー側の10番が全くテンションが上がりません。もしや…
なんと7mmも伸びていました笑笑。
短いスポークの方で良かったです。こちらも1本だけ余りがありました。あと14番もちょっと怪しい気がしますが騙し騙し締めていきます。
振れは何とか取れましたが…
リアはやっぱり先程の怪しい14番スポークの周辺で微妙に縦振れを起こしています。1mm以内なので、もうこの辺でご勘弁を…
リア側はテンションにかなりバラつきが!
リアは左(反フリー側)が概ね57kgf(メーター読みで平均10.2)で、右(フリー側)が概ね108kgf(メーター読みで平均17.1)でした。これ以上はニップルが回らずスポークの伸びそうなので、なかなか狙ったテンションに調整できませんでした。
スポークテンションアプリでイメージを見てみます。
■フロント
■リア
※テンションの値(kgf)は”パークツールTM-1”の時の値なので、私の中華TC-1の値とは微妙に違うと思います(笑) ※換算表はTM-1と全く同じだったりしていますが…
尚、TC-1ですが、、ご覧の通りテンションを計測する真ん中のピンが取れました笑。簡単に直せますが、緩んだまま計測するとメーター読みで1前後値が小さくなってしまいます。
ようやく完成…重さを計ります。
やっと完成しました。重さは材料の重さから予想していた通りの重さになりました。
フロント:664g / リア:1,003g
リアは1kg超えちゃいましたねぇ。各スポークテンション差は、フロント15%以内、リアは20%オーバーでした。
※後日追記 : クロスバイクの元の鉄下駄ホイールの重さを測りました。前後で2,162gでした。今回1,667gになったので▲495g(クイック込みで▲604g)軽くなりました。ボトル1本分ですね。
もっとカンカンにスポークを張りたかったのですが、最初はこんなもんかも💦
こういうホイールを"ヌルい"って言うんですかねぇ。。
リムテープ、チューブ、タイヤを装着
出来たホイールにこれらを取り付けます。
リムテープが付くとそれっぽく見える。
タイヤ付きの仕上がりです。
タイヤは個体差があり前後で重さが異なりましたので、結果としてフロント:1,051g / 1,383gとなりました。
最軽量化に拘った訳では無いので、そこそこ軽く仕上がり満足です。
軽量クイックリリース
とは言いながらもクイックリリースも軽い物に交換しました。これで更に前後で109g軽くなりました。
さー、クロスバイクに装着します。
印象変わったような変わらないような…
スポーク数が減って多少スッキリしたフロント周り。
あとは、実際に乗ってみてトルクをかけた際、しっかりタイヤのトラクションを稼げるか?また巡航中のホイールの剛性感はいかがなものか?坂の上り下りでのヨレやハンドリングはどうだろう?ダンシングは気持ち良く蹴り込めるか?色々ちょっと楽しみです。
今回手組ホイールに挑戦してみて
今回初めて手組ホイールに挑戦してみて感じた事は、
- 最初からハイスペック部品にしないでスタンダードな部品からスタートした方が練習になる。
- スポークが捻れずニップルが回ってくれるところで調整しないとダメ。
- 上下左右は引っ張り合って均衡が保たれているのでやみくもに締める方向だけで調整するのは素人には無理かも。
- 繊細な調整を心掛ける。決して力任せに引っ張ったり締めたりしない。でも時には大胆さも必要?
- 振れ取り作業は慣れが大切。それには練習あるのみですかね。
という感じです。
馴染ませてからもう一回振れを取るのが良いみたいですね。
ではこれから試運転してきます。
追記 : 走って馴染ませてきました。結構しっかり走ってくれて率直に嬉しかったです。リアもチカラが抜ける事も無いし、フロントもコントローラブルで満足です。特にリムの剛性が高く感じました。
あと登り坂で軽く感じました。ロードバイクに近い感覚です。また下りもブレること無く気持ち良く乗れました。平地はホイールの重さによる慣性が弱くなったのか車速がノッてきてもノビが顕著に出る事は無かったものの踏めるので問題無い感じです。ダンシングでは時折スポークのキシむ音が鳴りましたが馴染んでくれたものと思っています。
まともに走ってくれて嬉しい。
帰ってから初期振れを取りました。
再び振れ取り台にセット。
ほぼ振れも視認できないくらいまでになりましたので、"ロックタイト222 "を使ってみます。ニップルの隙間から流し込むと毛細管現象の為か吸い込まれていきましたので、たぶん大丈夫でしょう。このまま乾かします。