昨年、北アルプス裏銀座コースにある烏帽子小屋、野口五郎小屋を初めて訪れて以来、すっかりファンになってしまい、今年も行ってきました。(北アルプス裏銀座「烏帽子小屋」「野口五郎小屋」のトイレ視察に同行する - ワンゲル部の記録長さん)
天空の宿…野口五郎小屋
◾️今回のコース
・9月11日(金)
07:15 高瀬ダム出発 → ブナ立尾根 → 13:00 烏帽子小屋(昼休憩) → 13:50 出発 → 17:00 野口五郎小屋(宿泊)
・9月12日(土)
16:20 野口五郎小屋出発 → 野口五郎岳 → 18:00 野口五郎小屋(連泊)
・9月13日(日)
07:15 野口五郎小屋出発 → 08:45 三ッ岳手前(落雷の為一時避難) 09:50 再出発 → 10:30 烏帽子小屋(休憩) 11:20 烏帽子小屋出発 → ブナ立尾根 → 15:15 高瀬ダム → 15:45 高瀬館(温泉)
ブナ立尾根から裏銀座へ
今回もブナ立尾根から登ります。
土砂が崩れやすい地形
高瀬ダムは、硫化水素の影響だそうで綺麗なエメラルドグリーンの色をしています。
濁沢の滝
濁沢の滝。ここ濁沢は沢山の土砂を含んで流れていくので河床が上がりやすく、ほんの2時間ほど強い雨が降っただけでも吊橋が流されてしまう事もあるそうです。雨天時通行注意です。
三大急登ブナ立尾根
さて、ブナ立尾根にとりつきます。いきなり急な階段が続いたあとは、歩きやすく整備された道が続きます。ただ雨だと木の根が滑りやすく、やはり雨天時通行注意です。
ヒカリゴケ!
ブナ立尾根は12番(登山口)から0番(烏帽子小屋)まで番号が振ってある為、目安となり歩きやすいのですが、その3番のちょい上あたりに「ヒカリゴケ」を発見しました。ほんのちょこっとでしたが、岩穴に光が差し込み反射してキラキラ光っていました。写真だとわかりづらいですね…(ヒカリゴケは発光では無く、レンズ状の細胞が反射して光るらしいです。)
烏帽子小屋で一休み
烏帽子小屋に到着し、しばし休憩です。天気がだんだん崩れてきました。そして再出発後、案の定三ッ岳手前で雨にやられました。
モクモクと雲が湧き上がります
しかし割とあっという間に雨は止み、振り返ると烏帽子岳が姿を現しました。信州側は山の斜面に沿って雲が上がってきています。
晴れてきたか?
青空も見えるようになってきました。
三ッ岳過ぎると岩ゴロのアップダウンが続きます
五郎までの最後の登りに差し掛かります。小屋へのお土産も背負っており少々バテ気味です💦
本当に素敵な宿だ!
五郎小屋到着〜。一年振りです。とても落ち着くアットホームな小屋です。ご主人ご夫妻と若旦那があたたかく迎え入れてくれました。
こだわり酒屋親父の日本酒にお手製ラベル
五郎小屋は、とにかくおもてなしが温かい宿です。なのでコアファンが多い小屋でもあります。
今回は東京銀座にある酒屋さんがスペシャルな野口五郎ラベルを手作りされましたので、その日本酒もお届けしました。
やはり今年は登山者が少ない…
分かってはいた事ですが、今年はコロナ禍で小屋を訪れる登山客は少ないです。また非常に集客効率が悪いです。
大町キャラ、おおまぴょんもマスク顔でお出迎え…
小屋からすると三密を避けるには予約を制限しなければなりませんが、登山客からするとコース上の小屋はエスケーププランも含め予約を入れる傾向にあり、結果として通過する小屋は当日キャンセルされちゃう率が高いとか。。
2Fの鷲羽岳部屋を2人で広々独占…
部屋はどこも一部屋1人から多くて2人くらいまで。広々と寛げるのはいいのですが、何ともやり切れない気持ちです。
白み出した空に光の筋が綺麗です
翌朝、小屋の前からご来光を拝みました。ちっちゃいケルンがアクセントになってなかなか良い感じの景色です。
フラッシュです!
少ない宿泊客ならではですが、この景色を小屋前でも独占できました。
今回、小屋閉め作業を少しだけお手伝いしました
今年は小屋開けが遅く、そして小屋閉めも早いです。小屋閉め作業は通常、宿泊客対応の合間にちょこちょこ行うそうです。
小屋裏の斜面にはコマクサが咲いていました
小屋裏の斜面トップに蛇籠で固めた石垣がありますが、そこと母屋の基礎柱をワイヤーを張って固定します。これは強風で屋根がすっ飛ばないようにするためだそうです。風がどれだけ強く吹くのかが伝わってきます。
綺麗な外トイレ
尚、今回は「お花まき(し尿の処分作業)」のお手伝いはありませんでした。そもそも利用者が極端に少ない為、上から覗いて見ても殆どし尿は溜まっていませんでした。因みに昨年より臭いを抑える効果がある(環境に配慮した)薬剤を利用している為、ほぼ臭いがしませんでした。
その他、天水を溜める貯水槽の掃除や整理など、やる事盛り沢山な感じでした。足手まとい的にしかお手伝いできませんでしたが、こちらとしては貴重な体験で大満足でした。
夕方少し時間があったので、野口五郎岳山頂をピストンするとこにしました。
山頂近くから野口五郎小屋を振り返る
雲が多めで大町側も富山側も雲だらけで景色が見えません…
夏雲湧く
ただ雲の流れが早く次第に青空も見えるようになってきました。もしかしたら良い景色が期待できるかも?
晴れるかなぁ
できれば槍ヶ岳を拝みたいです。その一心で登りました。
ブロッケン!
うーむ、ブロッケン…お前が見えるということはまだまだ晴れない感じですかね、、
あっという間に晴れてきた
一旦山頂踏んでみて、でもガスっていて残念な気持ちでそのまま下り、ふと見上げると、、おっと晴れてきたかー?
影五郎?
慌てて登り返します。まもなく再び山頂です。
五郎山頂到着
おぉ、雲が取れてきています。かろうじて槍ヶ岳が見えるではないですか!登り返して良かったですー。
雲上に浮かぶ異国の地のような槍ヶ岳
昨日は小屋前から富士山が見えたし、今日は山頂から槍ヶ岳が見えたしで大満足です。
水晶岳方面に陽が傾く
だいぶ陽が傾いてきたので、小屋に戻るとします。左手には水晶岳と長大な読売新道が見えました。
立山方面
だいぶ下ってきました。再び雲が広がってきました。明日は雨かな?
小屋に戻り、夕食をいただきました。五郎小屋名物のラブたま❤️です。
五郎名物「ラブたま」
明日はいよいよ下山です。星空鑑賞を消灯の20時ギリギリまでしました。
五郎岳方面の夜空
暗くてよく見えなかったのですが、写真に撮ってみると意外に高曇しているのが分かります。
大町方面
町の上空はやや明るい感じです。
星がイマイチ見えませんでした。
明日はかなり天候が悪化しそうです。今日はこれでおとなしく寝る事とします。
最終日は予報通り雨。途中落雷も!
最終日、名残惜しいですが雨の降る中、野口五郎小屋を後にしました。
三ッ岳に差し掛かると雨が一段と強く降ってきました。同行者ガイドさんによると落雷の予兆があった場合は直ちに行動をやめ、少しでも低いところで退避して下さいとの事でした。
急に暗くなり…
落雷は下からの温かい空気が上空の寒気に混じった際に起こるそうです。なので落雷には以下の予兆があるとの事でした。
- 冷たい雨に変わる(上空に寒冷前線)
- 風が吹く
- 下から温かい空気の上昇気流がある
- 気圧が上がる
だそうです。また取るべき行動は、
- 逃げ場の無い稜線を避けて一段以上低い所でしゃがんで過ごす(今回はハイマツ帯を降りました)
- ポールとかザックはデポして避難する
- 尖った岩陰とか避けて避難する
- 気温が下がるので防寒する
- 雷雲が通過する迄30分〜1時間は避難する
という感じでした。今回急に暗くなって雨が冷たくなったと思ったら、すぐにピカッときてゴロゴロとなりました。ピカッと光ってからゴロゴロ音がする感覚がだんだん遠ざかるのを感じながら慌てずジッとやり過ごすしか無いです。最後また風が吹いて雷雲が去っていきました。怖かったですね。。
烏帽子小屋まで戻って来たよ
烏帽子小屋に到着。途中すれ違って五郎方面に向かった方々も心配ですが、何はともあれ無事にここまで来ました。
雨上がりのブナ立尾根は斜度のあるところでの木の根が滑り易く、意外と危険な箇所がたくさんあると思いました。ラストは特に慎重に降りました。
今回2度目の野口五郎小屋泊でしたが、改めてファンな気持ちを実感したと共に、コロナ禍の異常な状態を垣間見た感じです。
1日も早くこういった事態が収束する事をお祈りしたいと思います。