ワンゲル部の記録長さん

山ですぐバテちゃう記録長さんの日記

北アルプス〜烏帽子小屋、野口五郎小屋に行ってきました<後編>

<前編>からの続き…北アルプス〜烏帽子小屋、野口五郎小屋に行ってきました<前編> - ワンゲル部の記録長さん

次に向かう野口五郎小屋での主な目的は、トイレ掃除体験となります。

小屋前から見事な雲海が見られる事が多いので、きっと掃除後の疲れも一気に吹き飛ばされるに違いありません。

f:id:uccari8:20220928084248j:image今回もバッチリ雲海が見られました

因みにスタートは曇り。台風一過ですが、意外とスッキリとしない天気の中、野口五郎小屋へ向けて出発しました。

f:id:uccari8:20220928002117j:image烏帽子のテントサイトを通過します

f:id:uccari8:20220927222649j:imageまぁお天気イマイチですし、いますよねー雷鳥

f:id:uccari8:20220927165050j:image烏帽子のテン場を抜け最初の登りを終えたところ

f:id:uccari8:20220927165107j:image中間地点の三ッ岳はピークを踏まずトラバースします

視界が効かない為、稜線コースはやめてお花畑コースにしました。

f:id:uccari8:20220927165523j:image左に折れます…

ようやく青空が見えてきました。
f:id:uccari8:20220927165053j:image雲海が凄いクリーミー

再び稜線に出て電波を拾うようになったのでスマホを見てみたところ…

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ひゃー、五郎小屋からの連絡でトイレ掃除が始まってしまう…と思いきや色々修理箇所もあるらしくぼちぼち始められたとの事。
f:id:uccari8:20220927165102j:imageあと500mです!

ちょっとビビりました。ですが、うかうかもしてられず道中急ぐ事としました。
f:id:uccari8:20220927165045j:image到着…
f:id:uccari8:20220927165058j:imageただいまー

野口五郎小屋です。NHK BS日本百名山の番組で、"ちゅーたさん"が「ただいまー」って言っていたのも頷けちゃいますね。

花まつり、イキだねぇ

という訳で、お昼をご馳走になってから花まつり?(トイレ掃除)を始める事にしました。なかなか参加できなかった作業ですが、遂に初体験です。

f:id:uccari8:20220927173754j:imageトイレの敷板は外され、便槽の中がこんにちは…しています

トイレ掃除の概要を簡単にお話しすると

  1. 便槽に潜る
  2. 便をかき出す
  3. 運び出して処理する

と単純労働ではあるのですが、全身防護服で、また悪臭との戦いとなりますので、そうは簡単にいきません。

f:id:uccari8:20220927174207j:image最後、石灰で消毒して終了です

作業は…無我夢中でした。。"かき出したバケツ"が重くて重くて腕がパンパンですが、3時間ほどで一旦終了となりました。

その後、従業員用のお風呂をお借りしてサッパリしました。

f:id:uccari8:20220927164859j:image山の端に沈む夕陽

ヘタの横好きプロの前で一発KO

今回の作業では来期以降も見据えて、更にメンテナンスを加えました。というのも、過去使用のEM菌やボカシ剤で便槽内が目詰まりを起こし、尿や下水の地下浸透が妨げられ、便槽内の水分が引かないという状態になっており、これを改善したい狙いです。

  1. 便をかき出し易いように、尿や下水が下に、便が上に、と階層が分かれるよう猫砂の要領で便槽の底に砂利を撒き、その上を石畳の様に岩で覆う
  2. 便槽の底を平らにする事で、均等に便の回収ができるようにする

f:id:uccari8:20220927235557j:image敷板を敷き直し、後は便器を置く感じです

標高3,000mでのし尿処理を❶環境や気候❷手間や効率❸低コストなど全ての要素を高次元にバランスを取りながら解決する事は、物凄く難しい事なんだなと思います。

f:id:uccari8:20220927235801j:imageまつりの後で、

因みに「ほっ!トイレ」シリーズのMt.Fujiトイレ薬剤を何回か使っていただいております。

Mt.Fuji Toilet|トイレ問題の総合ソリューション企業 株式会社エクセルシア

ツーンとしたアンモニア臭は消え、黒いわらび餅?水饅頭?のようにプルプルと固まり、見た目の改善、悪臭抑止、程よい固形化などで、便のかき出し作業はやり易そうです。ただ少しくっ付く感じもありますね。

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プルプルわらび餅のイメージ…すみません

あとは、今回「やってみた」からこそ、今まで「処理後物」と呼んでいた「薬剤で変質した便」の本当の「処理」が、この後の最終工程にあるという課題認識を改めて実感させられました。

小屋の環境に合わせて、メリデメを理解しつつバランスを取った施策を個々に検討…というのが今のところの答えな気がします。

f:id:uccari8:20221001202702j:imageすっかり夕方に
f:id:uccari8:20220928001018j:image空は焼けました

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こけももの間で就寝です。

再び稜線を戻りブナ立尾根より下山

最終日の3日目は快晴。翌日から天気下り坂との事で、まだまだトイレ作業の残務があるものの、早々に下山させて頂く事になりました。

f:id:uccari8:20220928165703j:image秋の空、水晶岳がよく見えます

f:id:uccari8:20220928164155j:image立山後立山連峰へ続く道

f:id:uccari8:20220928171431j:image振り返ると槍ヶ岳がチラチラ

お天気なので、帰りは稜線コース経由にしました。
f:id:uccari8:20220928164215j:image三ッ岳を過ぎると烏帽子岳が見えて来ます
f:id:uccari8:20220928164230j:image再び烏帽子小屋

ここからブナ立尾根を下ります。
f:id:uccari8:20221001202546j:image正面に遭難事件が起きた不動岳と崩壊した斜面

秋といえばキノコ🍄
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11番を過ぎ、階段が出てきたら、いよいよ終わりです。
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久々でしたが、とても充実した山旅となりました。

山が好きで我流で登り山のプロにも憧れますが、プロ故のご苦労は、なかなか表に見えてきません。それでもその一端に触れる事が出来れば、己の考えもブラッシュアップできラッキーな事だと思います。今回はそんな旅でもありました。